パンドラの匣

私の人生には、悲しい思い出が多い。普段は、記憶の底にギュウギュウに押し込んで鍵をかけ、思い出さないようにしているのだが、
 ふとしたキッカケで、洪水のように、辛かったその時の気持ちが溢れ出して、思わず立ち尽くす。

約束した場所に友達が来なかったこと。
教師に名指しされ、みんなの前で笑われたこと。
私だけバイトの更新がされなかったこと。
片思いしていた先輩に実は嫌われていたこと…

次から次へ、ヘドロのように黒い思い出が溢れ出し、うまくいえないが、気持ちがわーっとわーっとなるのだ。

私の中のパンドラの匣は底なしだ。