嫌われものの学芸会

学芸会の季節だ。


オーディションでセリフ多めな役を勝ち取った娘は、家でもセリフとダンスの練習に余念がない。


ふと、30年程前、自分が小四の頃の学芸会を思い出した。

今では、完全に村人3、家来5の私だが、その時は果敢にも主役に立候補した。主人公が老婆だったからか、主役はあまり人気がなく、あっという間に私ともう一人のAさんとに、しぼられた。


先生達には、実力伯仲だったらしく、その後、何度も学年全員の前で2人で同じ演技をさせられた。


当時から、地味でパッとしなかった私と、申し訳ないが、太めで勉強が苦手だったAさんとの一騎打ちは、当然盛り上がり要素がなく

、どちらにも応援の声も上がらず、シーンとするなか、周囲の「早く終わってくんないかな~」という、うんざりした空気が延々と続いていた。


結局、私が主役を勝ち取ったのだが、学年での自分の立ち位置を改めて思い知らされて、あまり嬉しく思えなかった。


「お母さんは何役だったの?」

娘に聞かれるたびに、壇上で必死に老婆を演じる自分と、白けた体育館の空気を思い出し、なんとなく嫌な気分になるのだ。